茂木健一郎 NHK「プロフェッショナル」制作班編著 「プロフェッショナルたちの脳活用法2」 NHK出版生活人新書

サブタイトルに「育ての極意とアンチエイジング」とある。

今まさに職場の若手にどう話す(アドバイスする)か…ということを考えていたところだったので本書はその答えのヒントを得られたという点で非常に興味深い本でした。また子育てにおいてもいくつかヒントをもらいました。自分育てにおいてもー。

以下が目次

第1章 子どもの脳の育て方〜成長の極意は「教えない」こと
第2章  部下の脳の育て方〜上司は安全基地になれ
第3章  自分の脳の育て方〜未来のために後悔する
第4章  脳のアンチエイジング①〜体を使って脳を若々しく保つ
第5章  脳のアンチエイジング②〜“意欲の脳”を活性化する
第6章  脳のアンチエイジング③〜“自分流”のススメ


以下こころに残ったところを引用します。(自分の覚書として…)


<「教えてもらったものは身につかない。教えて育てていると、いざ勝負というときに、『何か教えて』と頼ってくる。生徒が自分で考えて、自分で見つけた答えだけが、自分のものになるんです」 大瀧雅良し 高校教師・サッカー部監督>


脳科学の世界では、“カップリング”というが、人間の脳の回路というのは掛け算で働く。部活で培われた自発性の回路をA、勉強する回路をBとすると、成果はA×Bで決まる。つまり、Aという優れた回路がひとつあれば、それをさまざまな目的のために応用することができるわけだ。>


<できるとわかっていることを繰り返しているだけでは、人間の脳は成長しない。できなかったことや、やったことのないことができたとき、脳は達成感とともに大きく成長を遂げる。挑戦という行為は、いわば脳がワンランク上のレベルに到達するための昇級試験のようなものだ。>


<「部下を育てたければ、上司は親にも負けない安全基地になれ」ということになろう。>
<安全基地になれる上司というのは、「期待をしている」という信頼のメッセージを必ず部下に向けて発信している。と同時に、スタンスが首尾一貫していることも特筆しておきたいポイントになる。>
<部下に対して厳しい忠告や叱責を与えようと思ったら、まずは評価できる部分を褒めて、聞く耳を持たせること。これが優れた上司のダメ出しのコツである。>


<成功の喜びというのは、失敗の経験があってこそ初めて実感できる。学びの環境という点では、「晴れ、ときどき曇り」くらいのバランスで成功と失敗が混在するのが理想的と考えられる。さらにいえば、成長過程の若い時期なら、ときには台風や大雪のような大失敗に見舞われることにも大きな意味がある。>


<最近の脳科学の研究で、非常にユニークな事実が突き止められている。それは、他人に対する態度と、自分自身に対する態度が脳の中では同じ活動によって決まるということだ。つまり、子どもや部下を育てる時の方法論と、自分自身が成長するための方法論は基本的に同じでいいということになる。>


<ここでのポイントは、単なる「反省」ではなく、「後悔する」ことが重要だということだ。反省とは、その結果を振り返るだけの行為だ。一方、後悔とは実際に起こった「結果」と、もしもこうやっていたらこうなっていただろうという「仮定」を、脳の中で比較しながらシミュレーションする行為のことを指す。そこで生み出される「悔しい」「悲しい」といったネガティブな感情が記憶に強く刻まれることによって、同じ失敗を繰り返さないために適応力が向上するのだ。未来の自分のためにと考えて、失敗は大いに後悔すべきなのである。>


<「人間って、いいときが重なっていると、結果がすごく出るけど、成長しないと思うんです。いいことばかりだと心が遊んじゃうんですね。悪いときに絶対成長している。苦しければ苦しいほどいい。そうすると、磨かれていくんです、外からも中からも。役がもらえないとか、つらいときというのは、逆に僕にとって宝物なんです」 岩田守弘 バレエダンサー>


いろいろ刺激的な本でした!

個人的には「後悔すべき」にはものすごく共感!自分も高校時代に親のいうことに従ったことがあったのだが、後年それをものすごく悔いた。だから「大切なことは自分で決める!後悔したくないから!」……と学んだ気がする。