あべ弘士 さく・え 「どうぶつえんガイド」 福音館書店
どんなときに動物をかわいいと思うだろうか?
人にもよると思うが、私は動物のしぐさや動きが見られるときにそう感じる。
たとえば、チンパンジーの子どもがもぐもぐと口を動かしながら、大きな麻袋をひきずりながら動いているすがた。
たとえば、レッサーパンダが頭上にある木の橋をよちよちと歩き、たどりついた木によじ登っているすがた。
……そんな動物たちの姿を見ることができる動物園がある。
遊具あり、ドームあり、透明な円柱あり。ここに連れて来られた動物たちはラッキーだなあと思うほど多様な活動ができるしかけがしてある。
また、見るほうにとっても動物たちをいろんな角度から見ることができるので飽きるということがない。
本書はその動物園に20年以上勤務し、そこを退いた現在は絵本作家として活躍されている方が描いた絵本である。
もしくは、絵本『あらしのよるに』(きむらゆういち 文)の絵を描いた人、と言ったほうがピンとくるかもしれない。
動物たちをこころから好きで、それらのかわいさやユニークさを伝えたいという気持ちがたくさんつまった本である。
つぶさに観察した人でないと描けない細かなことが、イラストとともに記されている。
チンパンジーの百面相、ライオンの寝姿としっぽの様子、トナカイのつのの生え方などなど思わずほほえんでしまう。
……そして。
そんな動物たちの動いたりえさを食べたりする様子をひとめ見ようと、長い行列をつくり、カメラを向けながらその姿に一喜一憂する人間たちがいる。
……ヒトっておもしろいよね。へんだよね。
なんていうオチもあるちょっとかわった(?)絵本なのである。
(すみません、オチをいってしまいました 笑)