まったくな話

今日は笑ってもらおう。いや他人が読んでもそんなにおもしろくないかもしれない。

とにかくだ。自分のあほさ加減にさらなる自覚をいたしたことがあった(へんな日本語!)。


家族のひとりのお祝い事のため、大きなイケスで魚を釣ってそれを料理してくれる所へ行った。

竿とえさを4セットもらった。いつもは2セットなのだが今日は大人も参戦だ。

応援側にまわっていた自分だったが、竿を渡されるとなんだか俄然やる気がわいてくる。


……いやまて。しかしー。ひとり1匹釣ったら、いくらになるんだ?……

私の頭の中のそろばんがパチパチとはじかれた。


「先着3名までで釣りは終わりねー。4匹目は予算オーバー!」

などと気づいたら口走っていた。

「えーーー」

という声をよそに私は心の中でつぶやいた。

だって、1匹2500円から高いものは4000円近いんだよー。しかも釣ってしまったら買い上げるしかない!のだ。魚を選ぶこともできない。同じ魚が釣れることだってある。


……キケンだキケンだキケンだーーー!……


「まー。でも。今日はあなたが主役だからあなたが連れるまでは待つよ」

とのことばはしっかりかけておいた。


さー。釣竿がイケスに向かって掉さされた。

なんだか前に来た時より泳いでいる魚が少ない。やっぱり不況だからか?経費節減?

などととりとめのないことを思っていた。


……すると。なんと自分の竿に大きな魚が来たではないか……!


おっ。くいついた!そこをくいっと竿を引きあげてみると、釣れてしまった!


「やったー。鯛だ鯛だー!」


店員さんがやってきて祝いのかけ声を店内に響かせる。私たちも途中で合いの手を入れる。太鼓の音と共にー。

かなーりはずかしいがちょっぴりうれしい。


……これで私の釣りは終わり♪あっちでのんびり<引っ掛け釣り>でもしていよう!


ということで、小さなイケスのほうにひとり向かった。


そこには、鯵やサザエ、伊勢えびなどがいる。

引っ掛け釣りはえさはつけない。短い竿に糸がたれていてその先に針がついているだけのシンプルなものだ。その針に魚のヒレのあたりを引っ掛けて釣るのである。

「鯵。鯵。鯵のたたき♪いや塩焼き♪」

そんなことを思いながら糸をたれていた。


すると、ほどなく糸がゆれた。引きあげたとたん鯵をとりのがした!くー。


またゆれた。今度はすこしして引きあげた。


……なんだか重い……


えいっと持ち上げるとなにやら大きい。平べったい。


「なにこれ?鯵じゃない……」


……うへーーー。ヒラメだ。ヒラメを引っ掛けてしまったーーー。


どうしよ。こんな大きい魚を釣ってしまって……。

ひとり1匹だってダメなのに、私が2匹もつっちゃいかんだろー!

とっさに竿を揺らした。おちろ!おちろ!ヒラメよ落ちてくれー!


という心の叫びを知ってか知らずかさかなはまったく落ちる気配がない。

焦っている私に店員さんがにこやかに網を持って近づいてきた。


……あー。釣ってしまった……。


どんな調理法にしますか?などと聞かれ刺身と唐揚げと答えている自分も哀しいー。


大きなイケスのほうでは、まだだれも釣り上げていないようだ。ヒラメを釣り上げたことを報告しに行った。

「えーーー。2匹も釣ったのー!」

「う、うん。。。ヒラメがいることに気づかなくて……」


そう、そうだ。鯵に気をとられていて、鯵の下にべたーっとのさばっているイケスの底と化しているヒラメの存在に気づいていなかった。それが敗因だ。もっと針を上のほうにたれていればよかったのだ。


…と思ってみてもあとのまつり(汗)。


結局今回、大人だけが大きな魚を釣り上げ、主役は豆鯵1匹、鯵1匹。2匹釣ったのでとりあえず満足。もう一人は豆鯵1匹を釣り上げて終わった。ねばりにねばったが鯵がどうしても釣れなかったようだ。大きい魚はもうこれ以上食べられないということで断念させらたのだった。


あああー。予算がどうのとか先着3名だとか言っていた自分が、2匹も釣り上げるって……。


「もしかしてこれは何かの前祝い?」とひとりごちていたら、

「ちがうよ。今日は主役のお祝い事!」

とつっこまれてしまった。


大きな魚を釣り上げてこんな気持ちになるなんて。。。うれしいやら哀しいやら。


まったくな話におつきあいくださりありがとうございました(ぺこり)