吉村 昭著 「三陸海岸大津波」 文春文庫 

本日発見!今読んでます。

著者は他界されています。本著は2004年に第1刷。
しかし、それ以前に原題「海の壁ー三陸沿岸大津波」1970年7月 中央公論社刊<中公新書224>
三陸海岸津波」1984年8月 中公文庫刊

などから出版されているようです。

H23.4.26 ------------------------------------------------------------------------------------------------
読了しました。

貴重な記録がたくさんありました。
明治29年の津波。昭和8年の津波。そしてチリ地震津波について。

著者が三陸海岸に足を運んで、その地域の住民、漁師さん、その当時子どもたった人たちなどから話を聞いたものの記録。また、津波を体験した子どもたちが書いた作文などが載っていました。

そこからわかることや学ぶことがあるように思いました。自分が印象に残ったのは「迷信」というものについて。これを過信するのは危険を伴うということです。津波のことを「よだ」とこの地方の人は呼んでいたといいます。津波を得体の知れない生き物に例えているようです。


また避難(学校など)のときに言われる「お・か・し・も」の「も」。「戻らない」ということも大切なのかなと思いました。第1回目の津波から第2回目まで30分くらいかかることもあるということです。家族の安否を確認しよう・助けようと戻ったり、何かを取りに戻るというのは危険なのだと感じました。一命をとりとめた人の話を読むと、着のみ着のまま逃げるということをしていることがわかります。


今をさかのぼること何年も前から危機意識を抱きこの災害について地道に取材し、それを記録として残すことの重要性を意識している著者のその行動に脱帽です。