多湖 輝著 「母の品格」 新講社

言いたいことはたくさんあるけど、多くの人(お母さん)に読んでほしいから、平易な言葉で読みやすく書きました!

……と思わせる一冊でした。

個人的には少々もの足りない感があったが、母として大切なことをたくさんの人に知ってもらいたい!(だからタイトルもこのようにしました!)との著者の意図が感じられました。

以下が目次

第1章 「おやおや」と世間に呆れられる母になっていませんか
第2章 マナーを身につけることは「優しい心」を育てること
第3章 わが子なら、どう育ててもいいのですか?
第4章 人としての清々しさってなんですか?
第5章 母親は子どもの「友だち」ではありません
第6章 人に迷惑をかけなければ何をしてもいいのでしょうか
第7章 子どもは未来からの預かりものです

このような考えはまちがっている…ということを具体例をあげながらきちんと諭してくれる本。養育者自身が、善悪の判断ができなければ子どもを上手に育てることはできない。そしてかなしいことに現実は、そのような判断力に欠いた人の姿を見かけることが多くなった。

お母さんの育児の負担や不安な気持ちに共感しながらも、未来の日本を背負っていく子どもたちを育てる母たちに諄々と諭していく。

<子どもを「保護」することと「過保護」にすることには、天と地ほどの大きな違いがあります。お母さんが子どもを「保護」したいというのは理屈ではなく、心の底からにじみ出す母性本能でしょう。でもこの気持ちをうまくコントロールしていかないとあふれる母性本能で「過保護」に陥ってしまいます。>

<教えるとは毎日の暮らしの中で実践してみせるということなのです。昔の人は親の後ろ姿で教えるといいましたが、生き方で示してみせるということですね。母の品格も、マナーをさり気なく実践してみせるその後ろ姿に表れるのだと思います。>

<子離れできないお母さんがいます。子どもを育てることに夢中になりすぎてしまったお母さんです。もてる精力のすべてを子どもに注ぎ込んでしまうような育て方をするお母さんは、子どもがやがて自立して親元を離れていくものという考え方ができません。こういうお母さんが男の子を育てると、「世話女房」のように息子につくします。こうして育てられた男性はいつまでも母親の庇護のもとから離れられません。「マザコン」になってしまうのです。このタイプのお母さんが娘を育てると事態はもうすこし深刻です。母と娘は同性ですからまるで自分の分身のように接して、息子以上に距離をとりにくくなってしまいます。>

<精神的な距離感を含め、子どもの成長に応じてうまい距離を保てるのが上手な子育てといえます。>

<子どもは大人の保護の下で、限定された自由しか認められていないというのが自由の正しい理解です。>

大人の自由と子どもの自由は違うことを悟らせること。大人(父親)に言うべきことばと子どもに言うべきことばを使い分けることが大切。

<(前略)しつけるとは「仕向ける」ことです。「自分の好きなように自由に生きていきなさい」などといって、方向を示してあげないのは無責任というものです。>

自由とはなにか。人に迷惑をかけなければ何をしてもいいのかなどなど。人としての根本を問い、子育ての方向性を示してくれる本でした。