S・モーム著 「コスモポリタンズ」 ちくま文庫

訳者は瀧口直太郎氏。

本書は短編集である。1924〜29年にコスモポリタン誌に掲載されたもので、本書には30篇が収められている。


実に読みやすく面白かった。

オチがあるものもあるし、ないものもある。

著者もその序文で書かれているが、これは素描のようなもの。個人的には画家マティスの黒い筆一本で描かれた女性像を想起した。

余計なものがそぎ落とされ、タイトルからすぐに本題へと入りすぐに著者の描く世界へと誘われる。心地よく全編読み通すことができた。


なかにはパンチのきいてくるものもあり、ふうううむそうきたかー!とうならされるものもあった。

なかにはふううん。それで?というものもある。


モームによる人間観察・洞察、人間観みたいなものに触れることが楽しかった。べつにオチがなくても構わない(笑)


個人的には『物識先生』がよかった。その内容をここで言うのは避けるがおいしい一品料理をいただいた感じ。

巻末の解説(小池 滋氏)は別の作品を挙げてらした。


人によって好みはさまざまだと思うが、たのしい読書タイムをおくることができた。