山田 太一脚本 「ありふれた奇跡」⑤
「生」への讃歌。
そんなことを感じた第五回目でした。
特に印象深かったシーンは、
陣内(以下敬称略)が、仲間に救いを求めて近づこうとする。
そこで仲間は身の危険を察知し、モップを手に「ダメ!」とひとこと。
陣内は「こんなにやりきれないことが起こった。なのに自分はひとり。抱きつく人もいない。どうしたらいい」と目に涙を浮かべて訴える。
すると、仲間がひとこと。
「生きるしかない」
このシーンにぐっときました。
どんなに辛くても苦しくても生きるしかないー。
「生きていてよかった」とその前に、加瀬の祖父が言っています。
両親と死に別れ施設に入り10歳からひとりで生きてきた。おばあちゃんに出会えてよかった。結婚してよかった。
こうして孫がいるし子(お父ちゃん)もいる。
「縁」というものは大事にしろと。
長く生きてきた人の実感あることばだと思いました。
仲間の家族もいろいろかかえ。
加瀬の家族もいろいろかかえ。
陣内もいろいろかかえ。
スナックの女主人もいろいろかかえ。
外からは見えないものを誰しもがかかえている。
でも生きなきゃならないし、生きていればどうにか救われる道もあるー。
こうして同時代を生き自分のことを我がことのように心配してくれる人がいて、話をかわしこころをかよわすことができる。
それだけでも奇跡。
そしてー。
いろんな事故や事件をまぬがれこうしてこの世に生きていること。
それこそが奇跡。
そんなことを思いました。
なんだかわからないけどエンディングテーマとともに涙がふーっとあふれてきてしまいました。。。
いろいろ考えさせてくれるドラマ。
だからすき!