ウィリアム・モリス
どこかで見たことがある。
でも思い出せない。
そう思いながら「アーツ&クラフツ展」の作品を見てまわっていた。
そこには壁紙が何枚も飾ってあった。手工業の絨毯、タペストリーもあった。
他には椅子、テーブル、グラス、カトラリーなどなど生活用品があった。
展示してある解説のボードに目を通しながら、はたと気がついた。
そうだ!これはリバティ社のデザインで見たことがあるんだ!
あとローラ・アシュレイのインテリア用品とか!
これらに共通するのは、英国発ということ。
小花柄だったり、蔓植物だったり大きな花だったり、小鳥だったり。
自然や動植物があるパターンによって描かれており、その色づかいも変化に富んでいる。
個人的にこのようなデザインの物が好きでよく目にしていた。
……それのもとがウィリアム・モリスという人だったとは……!
初めて知りました(汗)
彼は、英国出身で19世紀後半を生きた人。
そのころのイギリスは産業革命による機械化で大量生産・安価な商品が出回る現象が起こっていた。それまで文化の担い手は一部貴族や大地主階級だったが、都市市民も工場生産の産物を生活の中に取り入れて文化的生活を獲得した。
しかし、ウィリアム・モリスはこれらの規格化された工業製品には藝術する心が入っていないと唱え、生活の中の日用品のデザインに藝術性を取り入れようとした。そういう運動を推進した人なのだそうだ。
藝術というと絵画や彫刻を思いうかべるが、彼はそれだけではなく日常的に使用されるものにこそ藝術があると主張した。
<藝術とは、自然の持つ精神と性格を理解し活用することだと考えた。壁紙やカーテン、椅子張地、絨毯など、部屋を飾る日用品は機能性を満たし、あるデザインや色彩にまとわれていれば満足できると思われている時代に、用あるものの中にこそ藝術があると唱えたのであるから画期的なことであった。>(三田村 有純 監修 「ウィリアム・モリスの100デザイン」より)
なるほどなるほど。そういう歴史があってのこの展覧会なんだ!
わかるほどにおもしろい。
展覧会の最後ショップで本を購入した(この文の三行上で記したもの)。
もう。これを眺めているだけでうっとり♪これもいい。あれもいい。この色もいい。。。
「このなかから好きなデザインのものを壁紙としてプレゼントしてあげるよ。どれにする?」
なんて言ってくれる人が万が一出現したとしたら、まる一週間考える日にちをもらいたいと乞い願うだろう。
……なんでこんなに魅かれるのだろう?……
本監修者によれば、モリスは植物を単にデッサンとして写し取るのではなく、その命ある姿の本質を汲みとって表現しようとしたという。
<例えば蔓草や木の葉や花の描写についても、単に真正面や真上から描くだけではなく、生きて上部に這い上がろうとする蔓草の命の様や、太陽を求めて枝葉を広げる自然の生命力を表現した。>
また、彼は日本の影響を受けたいわゆるジャポニスムそのものであるという。彼が影響を受けた日本の古いデザイン帳があるという。それらも写真入で紹介されている。
うーーーん。
さらに楽しくなってきました♪
そういえば、ウエッジウッド社のティーカップに日本の「クタニ」というネーミングのついたものもあった気がする。こんなのも影響を受けているのかなあ。。。
などなどいろんなハッケンがありましたー!