阿久 悠著 「作詞入門」 岩波現代文庫

タイトルの横に「阿久式ヒット・ソングの技法」とある。

帯には<生涯五千曲ー歌謡曲の黄金時代を牽引した超人的な才能の秘密 解説:鴨下 信一>と書いてある。


もうすでに著者は亡くなられている。本書は1972年5月に刊行されたもの。「僕の歌謡曲論」については岩波新書『書き下ろし歌謡曲』(1997年8月)より収録したものである。


ここまで秘密を明かしてしまっていいの…!?と思うくらい、作詞における戦略やら企画の立て方やらが書かれている。


一つの曲を書くのでもストーリーを考え、主人公のこまかい設定まで行うという。
歌といっても、ひとつの情景を切りとるのか(『また逢う日まで』)、主人公の生き方を描く小説風の歌にするのか等パターンがあること。

本書の初めにこれはいわゆるハウ・ツー本ではないと明言されているように、技術的な面もさることながら、歌謡曲と社会の関係をどうとらえるかというかなり深いところのにまで話が及ぶ。

また以前に読了した本で知ったのだが著者は、毎日日記をつける習慣がありその内容がものすごく細かいそうである。それだけをとってもかなりの勉強家だということがわかる。

阿久 悠著『日記力『日記』を書く生活のすすめ』(講談社+α新書)
興味のある方はこの本もおすすめです。


自分は作詞家を目指しているわけでもなんでもない(笑)。ただ、阿久氏が好きでどんな考えをもっているのかを知りたいというだけで読んでいる。また岩崎宏美の歌もプロデュースされ、アイドルがどんなふうに成長していくかが歌でわかるようになっているのがすごいと思った。『思秋期』などにそれが顕著に表れているのではないかと個人的に思った。


私がこんなことを言ってもまったく説得力がないのだが(笑)、阿久氏はものすごい人だ!。
ただただそれだけです。