松浦弥太郎著 「100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート」 マガジンハウス

今、自分の心の中で繰り返し言う言葉がある。

それは「時間と仲良くなる」である。この言葉は、本書から授かった。

今までせかせかあくせく、それほどのことはしていないのに、時間に追われている気がしていた。普通に暮らし、仕事をし、家事をしている。心にゆとりがない。無為に過ごしてしまうことも多々あった気がする。

この言葉を手に入れたら不思議なことに、どんどん行動するようになった(気がする)。それの一番顕著なことは入浴時間。就寝時間が早くなったこと。だらだらしなくなった。

振り返ると時間が自分を責めている気がしていた。今まではー。

時間がない。時間がない。もっと寝たい。もっと〜したい。ということを思っていた。


本書の話に戻そう。松浦氏の名前は実は最近初めて知った。著作も初読み。氏は雑誌『暮らしの手帖』編集者。古書店店主。文筆家という肩書。

そういえば『暮らしの手帖』は「すてきなあなたに」というコラムがあり、それを過去に朗読したことがあった。とてもこころに残るコラムだったとつらつら記憶がよみがえってきた。それを編集された方なのかと思うと親近感がわいた。実際そのコラムは前の編集者(大橋氏)かもしれないのだが。

「暮らし」と「男性」が自分の中ではどうも結びつきにくい。なのでどのような文章を書かれる方なのかという興味もあり、ポチッとしてしまった。評価もすこぶる良かったので。

自分もすぐに読んだが、1日で読了できた。左頁に簡潔な言葉。右頁にそれにまつわる話や解説という構成。日々の暮らしのなかで「大切にしていきたいこと」が書かれている。タイトル通り実に「基本的」なこと。わかっていてもできないこともあるし、もうすでに実行しているものもある。

読後自分の暮らしを見直すきっかけとなった。心穏やかに生活するためのヒントがありとてもよかった。

本書の最後に『自分の100の基本』を書く頁がある。それを書くにあたり、著者の言葉が実にやさしい。100とあるけれどもその数にこだわらなくていい。多くても少なくても。あとから書き足してもよいとあった。

なので、自分も書き出してみた。それを毎日ながめていきたい。そして前頁も事あるごとに見直して自分の軸がずれていないか点検していきたい。そんなことを思った。