池井戸 潤著 「オレたち花のバブル組」 文春文庫

前作（『オレたちバブル入行組』）に比べると少し地味な流れだが、自分にとってはとても面白かった。

「オレたち」とタイトルが示しているように、バブル期に銀行に就職した半沢の同期、渡真利、近藤、時枝らの様子も描かれていて読みごたえがある。

「裁量臨店」「金融庁検査」「疎開」など本書を読まなかったら、おそらく一生知らなかったかもしれない銀行の「業界用語」なるものとも出会えた。銀行の裏側の一部を垣間見ることができて興味深かった。

時々思うのだが、「プロ」というか「できる人」に共通することのひとつに、「その気がない人をその気にさせてしまう」というのがあるのではないかと思う。例えば「銀行を舞台とした小説を一気に読ませてしまう」とか「見ていただけの洋服を衝動買いしてしまう」とか（苦笑）。

自分の感情を揺り動かしてくれるものとの出会いはなかなか貴重です（年を重ねるとね…）。

「わくわく」「どきどき」させてくれる小説でした。

半沢直樹の生き方にあっぱれ！