金子 由紀子著 「買わない習慣」 アスペクト

以前にも同著者の著作を読んだことがある。あまり押しつけがましくなく、さらりと書かれているところが良く、とても読みやすい。


「習慣」という言葉に惹かれた部分もある。習慣に落とし込めば「買わない」ことも苦にならない。そこに到達するまで大変だとは思うが。


自分も「節約」を生活の中に取り入れられない。(著者もそうなのだそうだ)。家計簿をつけたところで何にも変わらないのだ。しかし、本書の以下の言葉にひかれた。


<非常に単純に言うならば、「節約」が、130円を100円にすることを目指すところを、「買わない」はいきなり「0」を目指します。とても単純でわかりやすいでしょう?「買わない」というと、非常にストイックなことのように思えますが、それを「禁欲」と思わず、「デトックス」と考えてみませんか。>


<体内に蓄積された有毒物質=悪しきムダ遣いの習慣が除去されたら、視界がスッキリして、ほんとうに必要なものだけが見えてくるかもしれませんよ。>


※本書でいう「買わない」は、「なるべく買わない」「極力買わない」である。


買わない習慣を始める前に、やっておきたいこととして、「棚卸し」と書かれている。自分がいったいどれだけのモノを持っているのか、またそれはどんなモノなのかを把握する。それを行うことで、自分自身がいかに豊かであるかを確認するためのものだそうだ。


「買わないもの」は、「つまらないモノ」。「つまらない」というのは、「あなたの暮らしにとってつまらない」「あなたの暮らしを豊かにしてくれない」という意味である。なのでなにをもって「つまらない」とするかは、自分自身だそう。


本書で自分が一番読み応えがあったところが<「買わない一週間」チャレンジレポート>の頁だ。


3人の人が、その日に買ったものを書き出し振り返る。著者のひとことメッセージ付き。他の人の取り組みやら頑張りやら弱さなどを目のあたりにすると、自分だけじゃないんだと励まされる。そして、他人のことだとこうすればいいのに…などと客観的に見られる。お金を使わないために工夫すること。それを楽しめるといいのだと思いました。



以下は心に残ったところを覚書。


<「安くなっているから」「何着あってもいい」「流行だから」「デザインが素敵」などという理由では、買わないようにしましょう。買うときは、あくまで、「その服(靴、バッグ)が、自分と自分の生活を素敵なものにしてくれるか」という視点で選ばなければなりません。その服(靴、バッグ)がどんなに素敵だろうと、それが自分を素敵に見せてくれなければ、意味がありません。服だけ素敵でも仕方ないのです。「買わない暮らし」で流行とつきあうには、よほど注意しなくてはなりません。今、いちばん流行っているモノは必ず、次の瞬間、いちばんカッコ悪くなる運命にあるからです。>


<衣食住以外の購入ガイドライン> (中略)
・美しいもの ・体と環境に悪くないもの ・使いまわせるもの ・人に譲れるもの・売れるもの  ・人生を豊かにしてくれるもの (中略)「一見ムダに見えても、絶対後で効いてくる」という買い物には、お金を惜しまないほうがいいということでしょう。>

<買い物をするときのコツ 五か条  
その1 会話をして買う  その2 同行の人の意見を聞いて買わない  その3 買う予定のもの以外買わない 通りすがりではなく、目的を持って買いに行く 何を何点、という数を守る  その4「買っていい時間」を決める  その5 「買わない」を楽しむためのセリフを覚えておく > 


<今までお金を払って外に投げ出していた「暮らす技術」「生きる技術」を「買わない」ことによって、自分の中に取り戻す、そういうことができるのではないでしょうか。>


安易に買うのではなく、手持ちのモノを活用できないかと考える習慣をつけていきたいなと思いました。


「買うために、買わない」……「本当に欲しいモノを買うために、衝動的にモノを買わない!」ことが肝要だと思いました。