伊丹十三著 「問いつめられたパパとママの本」 新潮文庫

ああ。こんな人(伊丹氏)が高校時代の物理の先生だったらなあ。。。
などと今さら嘆いてみてもいたしかたないのだが(苦笑)
……いかんせん、学校の成績というのは教師との出会いによるところが大きい気がする。

それほど広くない世界の中(ちなみにその頃筆者は地方在住)で、知り合う人といったら数えるほどしかいない。そのなかで自分に影響を与えてくれる人との出会いといったらさらに少ない。むしろそういう人と出会えたというのは、非常に幸運なことだといえるのかもしれないがー。

……もしこの本を高校時代に読んでいたらもっと物理に興味が持てただろうか?

答えははっきりいってわからない。人生に「たら」はないのだから。

でも。物理という味気ない(もちろん自分にとって)教科を生活と密着した中でとらえて考えることができたかもしれない。

「アヒルハナゼ水ノ中デモ濡レナイノ?」
「ゴムマリハドウシテハズムノ?」
「赤チャンノ白目ハナゼ青イノ?」

などという日常のなかから生まれる疑問について、実に科学的に著者は語ってくれるのである。するとあら不思議、イオンの話も弾性の話も眼球の話もつるつるとおもしろく頭の中に入っていくのである。

そしてきわめつけは。。。

「赤チャンハドコカラクルノ?」

子どもに聞かれたと仮定してどう答えますか?

このような素朴な疑問を40ほど設定して、それについての筆者の答えやそこに至る考えが記されている。自分なりに答えを考えながら読むのもおもしろいかもしれない。

……私に限って言えば「ふううむ。なるほどなるほど」などと著者の話術とわかりやすいたとえ話にひたすら感心しつつ読んでしまったのだが。