諸田 玲子著 「鷹姫さま お鳥見女房」 新潮社

「お鳥見女房」シリーズの第三弾である。
登場人物が年を重ねていく。どんなふうに年を重ねるのか。なかなか興味がある。

基本的にこのシリーズに出てくる人たちはいい人たちなので、安心して読み進めることができる。

珠世という一家の主婦。彼女がいる限り大丈夫。


そして珠世をめぐる人々。

父親にも夫にも秘められたる過去があり抱えている問題がある。
みな、家族を心配させまいと必死である。しかし抱えている問題こそ表にはでないが、本人の心のありようが表情に出てしまう。
それを鋭くキャッチし、心を砕く珠世。しかしあからさまに何があったのかは尋ねない。相手自らが話す気になるまでひたすら待つ。どうしようもない時は自ら動き情報を得る。

彼女がでんと構え、動じず、許容し、時に推進する。肝のすわった女性である。
子どもを信頼し、成長を喜び、手助けする。理想的な母親でもある。

しかし、相手の言動が腑に落ちないときはぴしゃりと言う厳しさも持ち合わせている。
やさしさと厳しさをもっている女性である。


本書ではそんな珠世の姿がきらりと光った。



そしてもう一つ印象的だったのは、矢島家の嫡男・久太郎の縁談。
彼の潔さに読者である自分がひかれるとともに、「鷹姫」さまも彼に魅かれる。
久太郎は、男装の麗人である鷹姫さまに、自分とは違う激しさを感じとまどいつつも、なぜか気になる。


本書ではまだ二人の関係に決着がついていない。
これからどうなるのかー。


やっぱり第四弾もすぐに読まねば…!