吉村 昭著 「関東大震災」 文春文庫

自分のイメージとは違った本だった。

とはいえ、「関東大震災」について詳しくは知らなかったので、イメージもなにもないのだが(苦笑)。

これほどまでに、大震災後「人心の混乱」があったとは…。

著者が、幼児から両親の体験談(東京での関東大震災)になじみ、災害時の人間に対する恐怖感が筆をとらせた最大の動機・・・というものであるので本書がそれをクローズアップさせている面もあるにはあるとは思うのだが。


以下が目次である。


「大地震は六十年ごとに起こる」

地震発生ー二十万の死者

第二の悲劇ー人心の錯乱

復興へ


殊に「自警団」のふるまい、「死体処理」の凄まじさには戦慄した。新聞社による情報もかなり錯綜している。また、よくこのような状況から東京が復興したなあという感慨もある。(強いリーダー性のもとに復興計画が押し進められた。その当時内相であった後藤新平氏であるが、彼は当初国家予算の3倍にあたる予算を提唱したが、さすがにそれは理想的すぎるとの批判を受け、12億円に削られたという)。


大都市東京で大きな地震が再び発生したらー本書から得られる教訓、その後の大震災から得られる教訓を生かして「第二の悲劇」を生まないようにせねばならないと思った。


<二十万の命を奪った大災害を克明に描きだした菊池寛賞受賞作>(裏表紙より)