宮崎 駿著 「本へのとびら −岩波少年文庫を語る」 岩波新書

夏になると「○○文庫の100冊」というような薄い冊子が書店に並ぶ。それを見ると、なぜかしらそこに載っている100冊を読破したくなる。しかも同じ出版社でー。

それと同じ感覚を味わった。「岩波少年文庫」を制覇したいとー。


宮崎氏の本(岩波少年文庫)への想いや氏の少年時代の思い出などが、紹介文の中につまっていてどの本も手に取ってみたくなる。また自分自身がすでに読んだ本についての記述を自分の想いと比べて読むのも面白い。また、宮崎氏がどうしても最後まで読めない本というのもあるそうで、それはそれで興味がわいてくる。

以上岩波少年文庫の紹介(50冊)が第一部とすると、第二部の1は「自分の一冊にめぐり逢う」同2は「3月11日のあとに」と題した文章がが載っている。

その中で自分が一番興味を抱いたのが宮崎氏が吉野源三郎著『君たちはどう生きるかを次世代の少年に手渡したいと述べている部分だ。実は自分もこの本が好きでとある少年にプレゼントした覚えがある。大人になってからだが友人にプレゼントされたりもした(笑)。

再読という行為は自分はほとんどしないのだが、唯一この本は例外。中学生の時に初めて読んで、読書をしながら心臓がドキドキしてきて、自分がそこに引っ張り出される感覚を味わった。そしてその十数年後も同じような感覚を味わったのだ。いい本は次世代にも伝えていきたい。

また石井桃子氏の功績についてほめちぎっていらっしゃる。なるほど翻訳というのはかなりセンスのいることなのだなと思った。


本書は紙質も良く特に第一部の本の紹介ページは写真入りで、文章も簡潔でさらりと読める。読む本に困ったらここから一冊選んでみるのもいいかもしれない。


というわけでもないのだが『ゲド戦記1』読み始めました。もちろん岩波少年文庫版(清水真砂子訳)でー(笑)。