杉本章子 宇江佐真理 あさのあつこ 「衝撃を受けた時代小説傑作選」 文春文庫
あまり時代小説を手に取らない自分。たくさんありすぎて何を読んだらわからない状態ー。なのでタイトルに『傑作選』とあるのに魅かれて読んでみた。外れはないだろうとー。
以下が目次
暗殺剣虎ノ眼 藤沢 周平
正義の政府はあり得るか 山田 風太郎
血みどろ絵金 榎本 滋民
異聞浪人記 滝口 康彦
冬の金魚 岡本 綺堂
忠直卿行状記 菊池 寛
座談会 衝撃を受けた時代小説 杉本章子・宇江佐真理・あさのあつこ
杉本氏が選んだのが、上から2つの「暗殺ー」と「正義ー」。宇江佐氏が選んだのが「血みどろー」と「異聞ー」の2作。あさの氏が選んだのが最後の2つである。
巻末に座談会があり、本書に収められている8編について選者の三人がどうしてそれを選んだのかとか感想を述べあっている。それもまた大変おもしろい。
個人的には、「暗殺剣虎ノ眼」と「忠直卿行状記」が印象に残っている。「暗殺ー」は、実に衝撃を受けた。冒頭だけを読むと「官能小説?」と思うようなシーンから始まるのだが、どっこい最後には「戦慄」させられる。短編にしてものすごい「切れ味」。とってもよかった。
「忠直ー」は、現代にも通じる「自我の悩み」がテーマ。読んでいて辛くなる。「自分とは何者?」とつきつめていく様がよく描かれている。
楽しいひとときを味わわせてもらいました。