有吉 佐和子著 「香華」 新潮文庫

有吉作品やっぱりいい!

『青い壺』を読んだのをきっかけに(2013.2.11ダイアリー)、積読本だった本書(「こうげ」と読みます)を手に取ってみた。結構厚い本だが、するすると読める。するするとというのは、非常にわかりやすい文章で無駄がない。一度読めば頭に入る。

花柳界を舞台に、女性の一生を描いている。それと同時に母と娘の愛憎を描く。

娘が母に思うことをはしょらず書くところがスゴイ。何か大きな事件があるわけではない。日常の細々した場面を描き、思いを丁寧に描く。その日々の積み重ねを描く。自分も主人公「朋子」とともに生きている気がしてくる。

朋子という人物像がいい。なんだかんだいっても母親孝行。とんでもない母親なのだが…。

もっと有吉作品を読みたい!
初めて有吉作品を読んだのは高校生の時。『花岡青洲の妻』だったなあ(遠い目)。その後『不信の時』『恍惚の人』『悪女について』『複合汚染』『和宮様御留』『青い壺』と読んできたが、どれも読みごたえがあり期待を裏切らない。

未読の有吉作品がまだまだある。読むのが楽しみ!