ジョーン・G・ロビンソン著 高見浩訳 「思い出のマーニー」 新潮文庫

振り返るとここ数年、夏になるとジブリの映画を観ている。今年は「思い出のマーニー」。ということで、映画を観る前に原作を読んでおこう!と思い手に取ってみた。

良かった。実に良かった。思春期の少女の心の動きがていねいに描かれている。それだけでも十分良いのに、後半ミステリーっぽく前半の謎解きが行われるのだ。予想外の展開だった。

読み終えた後味もとてもよい。さわやかというか充実感がある。


……この原作をどう料理してあるのか?


というのが映画を観る一番の楽しみであり興味のありかである。

とはいっても、原作と映画とは別物であるから、映画は映画でおそらく楽しめるとは思いますがー。


ジブリさんありがとう!
たぶん「映画化」してくれなかったら、こんなすてきな本に出会えなかったと思います。あまり有名な本ではないですよね(自分が知らなかっただけ?)。

(本書を読んで思い浮べたのがやはりイギリスの児童文学「トムは真夜中の庭で」である。これについては、本書の訳者が「訳者あとがき」でも述べてらっしゃいますが。)

情景がありありと目に浮かぶように描かれているので、飽きることなくリアリティをもって本書の世界に入り込むことができた。(リアリティがあるのは、作者がかつて住んでいたところをお話の舞台にしているそうです)。