向田 邦子著 「向田邦子全対談」 文春文庫

本書は表立っては明記されていないが、吉行淳之介氏がこの本のタイトル、体裁、座談会を除く全対談を年代順に並べる、装幀を風間完氏に依頼するようにしたこと、対談者それぞれに短いコメントを依頼すること、まえがきを山口瞳氏に依頼するプランを出しこと等を行ったという。ここまでこの本に関わっていれば「監修者」といってもおかしくはないのだろうが、その任を断ったそうである(巻末の「この対談集について」より)。


自称向田邦子ファンが多いという。対談もさることながら、対談者の短いコメントがなんとも味がある。いろんな角度から向田氏をみたり、思い出を語ったり、向田氏への思いを綴っている。対談からはわからない向田氏の横顔が垣間見ることができる。それがいい。他の対談集にはない魅力と言えるかもしれない。すでに向田氏が亡くなられてからのコメントであるので、その分読んでいて切なくなってくるのだがー。

以下が対談した人。一気に羅列してしまいます!


小野田 勇、水上 勉、江國 滋、小田島 雄志、谷川 俊太郎、山藤 章二、吉行 淳之介、二子山 勝治、竹脇 無我、中川 一政、澤地 久枝、倉本 聰、鴨下 信一、阿川 弘之、和田 誠、矢口 純、矢崎 泰久


そしてサンドイッチのように本書の最初に「対談せざるの弁 山口 瞳」。対談の最後に吉行淳之介氏による「この対談集について」が載っている。

どの対談も向田氏の人となりがうかがえておもしろかった。澤地久枝氏以外は全員男性というのもおもしろい。江國氏、吉行氏との対談がこころに残った。特に吉行氏の相手(向田氏)の話に合わせて対話していく様に感心した。(数字の話)


食べ物の話をする向田氏がことのほか生き生きしているように感じた。